妖怪の世界を垣間見た天才。 ~「水木しげる 魂の漫画展」へ行ってきました!~

こんにちは8です。
先日機会がありまして、京都市龍谷ミュージアムで開催中の「水木しげる 魂の漫画展」へ行ってまいりました。

www.nhk-p.co.jp水木しげるさんといえば、「ゲゲゲの鬼太郎」や「悪魔くん」「河童の三平」などでおなじみですが、子ども時代をアニメで育ったせいか、原作の漫画がイマイチ馴染めずしっかり読んだことがなかったのでした。
しかし、キャラクターの単純さと背景の精密さ、というなんだかアンバランスな組み合わせの紙面は印象深く、この機会にじっくり見よう!と意気込んで、いざ会場へ。

入って早速お馴染みの妖怪たちがお出迎えしてくれるのを、パシャリ。

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入口にある物販コーナーで面白商品をあれこれ物色してから鑑賞券を購入し、上下階分けての展示ですのでまず3階へ。

流れとしては水木さんの生誕から逝去されるまでの間を、大まかな時系列に沿って進みます。

 

入って早々、画風の違う絵画の数々にびっくり。これが中学生の作品なの!?という中々のクオリティのものがずらずらと。良く知る漫画のタッチとは違いますが、色使いは既に最盛期に近いと感じました。

 

そして、使用していた道具、ふんだんに飾られる原画を間近で。
そこで長年不思議だった「精密画のような背景」の謎も解けました。
水木さんの漫画は、基本はあらかじめストックされた何千枚もの風景画から、シーンに合うものをピックアップしてコマに貼り込み、人物を足していく…という手法だったようです。
実際にストックされていた風景画や参考写真もまじまじと鑑賞。ああ、確かにこの方法ならああいうコマも描けるよなあ、と納得しつつも、原画を見て何かとんでもないもの見てるよどうしよう、という気持ちでいっぱいになってきたところで2階へ降ります。

 

 

ここからが本番、むしろ真骨頂でした。
「総員玉砕せよ!」の世界観から始まるこの階では、戦争を体験した水木さんの人生観を揺るがすようなエピソードや、キャラクター達の像、そして更に畳みかけるような圧倒的作品群。

多少なりとも「絵を描く」「漫画を描く」ということを知っている方なら、「Gペンと墨汁だけで、ほぼ一箇所の修正もなく、写真と見間違う程の精密な風景画を描く」「それを何千枚と描いてストックする」という作業がどれだけとんでもないことか分かると思います。
水木さんは戦争で左腕を無くされ漫画を描き始めたときには腕一本。そこからこの比類無きアートが生み出された、と考えるともはや眩暈が…。

 

展示内でアシさんは大変だった、との記載もあり、それはそうだろうなあ、こんなのどんだけ描きまくればいいんだろうなあ、としみじみ遠い目になる私…。

漫画原稿にカラー絵(染料を使用していたのだとか。だからあんなにキレイな発色なのですね)、童話の原案、他にもあれやこれやと飾られていて、どれもこれも大変素晴らしく。中でも特に目を引いたのは一枚絵に納められた白黒の「妖怪」たち!
水木さんといえば「妖怪」ですが、光と影で描きだされる沢山の妖怪たちのコミカルさやおどろおどろしさ、そして一枚の絵だけで妖怪の有り様(どういう所に潜み、どんな風貌で、どんな事をする、またはしでかすのか)を描く技量はさすがと唸らされました(樹木子ヤバかった)。
どこもかしこも、隙間なく魂の詰まった大変に素晴らしい展示でございました。

 

皆さんもお近くに寄られたり、ちょっと遠くても興味がある、今行き詰っているなどの方々は是非是非「水木しげる」という鬼才の世界観と技術、熱量に圧倒されて欲しいなあ、と思います。
おすすめですよ。

この記事を書いた人

◎profile

8

 

広報系の仕事に携わる社会人です。食べることが好きですが、作る方はイマイチ。

ぐりとぐらのカステラを絵本通りに作るのが最近の夢です。